高信頼性・高性能システム

このページでは、HAクラスタ、シェアードエブリシングとシェアードナッシング、グリッドコンピューティング、ロードバランサによる負荷分散がわかります。

  • 一言で言うと:
    • 複数のコンピュータを組み合わせて、「止まりにくく(高可用性)」「速く(高い計算能力)」する技術の話。

束ねて1台に見せる(クラスタ)→ バラバラの機械で大きな計算(グリッド)→ 要求を振り分ける装置(ロードバランサ)

覚え方の軸

  • HAクラスタは「待つ(アクティブ/スタンバイ)」か「全員働く(アクティブ/アクティブ)」か:
    • 前者がフェールオーバクラスタ、後者が負荷分散クラスタ
  • ストレージを「共有する(シェアードエブリシング)」か「分ける(シェアードナッシング)」か:
    • 共有は可用性に強いがアクセスが競合する。分けると性能は伸びるが、1台故障の影響が出る
  • クラスタとグリッドは「同じような機械か、バラバラの機械か」
  • ロードバランサは「振り分け方」と「監視するレイヤ(3・4・7)」で覚える

クラスタリングとクラスタシステム:束ねて1台に見せる

  • クラスタリング:
    • 複数の要素を連携させて、単体ではできない能力を得る技術(試験では「クラスタリングシステム」とも出る)
  • クラスタシステム:
    • ネットワークでつないだ複数のコンピュータを連携させ、1つのシステムとして使えるようにしたもの。代表はHAクラスタ構成
  • HAクラスタ(High Availability Cluster):
    • 高可用性が目的の構成。2種類ある
構成 方式 中身
フェールオーバクラスタ アクティブ/スタンバイ(ホットスタンバイ) 同等のサーバを複数用意し、いくつかを待機させる。アクティブサーバが故障したら、スタンバイサーバに切り替える
負荷分散クラスタ アクティブ/アクティブ 処理が集中しないよう、複数のコンピュータに振り分ける。ロードバランシングクラスタともいう。過負荷によるダウンを防ぎ(高可用性)、処理性能も上がる。Web・AP・DBサーバでよく見る
  • デュプレックスとの違い:
    • 広い意味では、デュプレックスシステムもフェールオーバクラスタの一種
    • ただしフェールオーバクラスタは、原則としてホットスタンバイで、拡張性もある
  • ハイパフォーマンスクラスタ(HPCC):
    • 高可用性ではなく、高い計算能力が目的のクラスタ。1台を制御用にし、他のコンピュータへの処理の振り分けや結果のとりまとめを行う
  • リソースを共有するかどうか(DBサーバの例)
構成 中身 長所 短所
シェアードエブリシング 複数のサーバが1つのストレージを共有して負荷分散 サーバ資源を有効に使える。データを共有しているので、1台が故障しても処理を続けられる 同じストレージへのアクセス競合がボトルネックになる
シェアードナッシング サーバごとに1つのストレージを割り当てる(データを分割して置き、サーバとストレージが1対1) アクセス競合がなく並列処理ができる。サーバを増やせば理論上、性能を無限に拡張できる サーバごとに担当データが決まっているので、1台が故障するとそのデータを処理できない(可用性が下がるおそれ)
  • 補足
    • シェアードエブリシングはストレージの故障が致命的なので、RAID10などの冗長構成にする
    • シェアードナッシングでデータが分かれていても、利用者やアプリは配置を意識せず1つのDBとして使える
    • 大量データを扱うデータウェアハウスでは、高速性のためにシェアードナッシングがよく使われる

グリッドコンピューティング:バラバラの機械で大きな計算

  • HPC(High Performance Computing、ハイパフォーマンスコンピューティング):
    • 気象予報や科学技術計算のような、膨大なデータ処理や計算を単位時間内に行うこと(スーパコンピュータで行うようなもの)
  • グリッドコンピューティング:
    • HPCを実現する技術の一つ。ネットワーク上の複数のコンピュータに処理を分散して、大規模な1つの処理を行う
    • 例:
      • 中央のサーバが処理を並列にできる単位に分け、ネットワーク上の異なるコンピュータで並列処理する
    • クラスタとの違い:
      • 構成するコンピュータは、PCから大型コンピュータまでいろいろでよい

ロードバランサ(負荷分散装置)

  • ロードバランサ(LB):
    • サーバへの要求を一元管理し、同じ機能を持つ複数のサーバに振り分けて負荷を分散する装置。サーバの稼働監視機能も持つ
  • サーバの稼働監視
    • レイヤ3:
      • ICMPパケットによる装置監視
    • レイヤ4:
      • TCPコネクション確立要求への応答を確認するサービス監視
    • レイヤ7:
      • アプリケーション監視
  • 負荷分散方式
方式 振り分け方
ラウンドロビン 決めた順番で各サーバに振り分ける
加重ラウンドロビン サーバの処理能力に応じて振り分ける
最少クライアント数 接続中のクライアント数が最も少ないサーバへ
最小負荷 CPU使用率が最も低いサーバへ

混同しやすいペア

  • フェールオーバクラスタ(アクティブ/スタンバイ)/負荷分散クラスタ(アクティブ/アクティブ)
  • HAクラスタ(高可用性が目的)/HPCC(高い計算能力が目的)
  • シェアードエブリシング(ストレージ共有、競合がボトルネック)/シェアードナッシング(1対1、拡張性が高いが1台故障に弱い)
  • クラスタ(同等の機械を束ねる)/グリッド(PCから大型機まで、バラバラの機械で処理を分散)
  • ラウンドロビン(順番)/加重ラウンドロビン(処理能力に応じて)
  • 最少クライアント数(接続数で見る)/最小負荷(CPU使用率で見る)

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