高信頼性・高性能システム
2026.10.08
このページでは、HAクラスタ、シェアードエブリシングとシェアードナッシング、グリッドコンピューティング、ロードバランサによる負荷分散がわかります。
- 一言で言うと:
- 複数のコンピュータを組み合わせて、「止まりにくく(高可用性)」「速く(高い計算能力)」する技術の話。
束ねて1台に見せる(クラスタ)→ バラバラの機械で大きな計算(グリッド)→ 要求を振り分ける装置(ロードバランサ)
覚え方の軸
- HAクラスタは「待つ(アクティブ/スタンバイ)」か「全員働く(アクティブ/アクティブ)」か:
- 前者がフェールオーバクラスタ、後者が負荷分散クラスタ
- ストレージを「共有する(シェアードエブリシング)」か「分ける(シェアードナッシング)」か:
- 共有は可用性に強いがアクセスが競合する。分けると性能は伸びるが、1台故障の影響が出る
- クラスタとグリッドは「同じような機械か、バラバラの機械か」
- ロードバランサは「振り分け方」と「監視するレイヤ(3・4・7)」で覚える
クラスタリングとクラスタシステム:束ねて1台に見せる
- クラスタリング:
- 複数の要素を連携させて、単体ではできない能力を得る技術(試験では「クラスタリングシステム」とも出る)
- クラスタシステム:
- ネットワークでつないだ複数のコンピュータを連携させ、1つのシステムとして使えるようにしたもの。代表はHAクラスタ構成
- HAクラスタ(High Availability Cluster):
| 構成 |
方式 |
中身 |
| フェールオーバクラスタ |
アクティブ/スタンバイ(ホットスタンバイ) |
同等のサーバを複数用意し、いくつかを待機させる。アクティブサーバが故障したら、スタンバイサーバに切り替える |
| 負荷分散クラスタ |
アクティブ/アクティブ |
処理が集中しないよう、複数のコンピュータに振り分ける。ロードバランシングクラスタともいう。過負荷によるダウンを防ぎ(高可用性)、処理性能も上がる。Web・AP・DBサーバでよく見る |
- デュプレックスとの違い:
- 広い意味では、デュプレックスシステムもフェールオーバクラスタの一種
- ただしフェールオーバクラスタは、原則としてホットスタンバイで、拡張性もある
- ハイパフォーマンスクラスタ(HPCC):
- 高可用性ではなく、高い計算能力が目的のクラスタ。1台を制御用にし、他のコンピュータへの処理の振り分けや結果のとりまとめを行う
- リソースを共有するかどうか(DBサーバの例)
| 構成 |
中身 |
長所 |
短所 |
| シェアードエブリシング |
複数のサーバが1つのストレージを共有して負荷分散 |
サーバ資源を有効に使える。データを共有しているので、1台が故障しても処理を続けられる |
同じストレージへのアクセス競合がボトルネックになる |
| シェアードナッシング |
サーバごとに1つのストレージを割り当てる(データを分割して置き、サーバとストレージが1対1) |
アクセス競合がなく並列処理ができる。サーバを増やせば理論上、性能を無限に拡張できる |
サーバごとに担当データが決まっているので、1台が故障するとそのデータを処理できない(可用性が下がるおそれ) |
- 補足
- シェアードエブリシングはストレージの故障が致命的なので、RAID10などの冗長構成にする
- シェアードナッシングでデータが分かれていても、利用者やアプリは配置を意識せず1つのDBとして使える
- 大量データを扱うデータウェアハウスでは、高速性のためにシェアードナッシングがよく使われる
グリッドコンピューティング:バラバラの機械で大きな計算
- HPC(High Performance Computing、ハイパフォーマンスコンピューティング):
- 気象予報や科学技術計算のような、膨大なデータ処理や計算を単位時間内に行うこと(スーパコンピュータで行うようなもの)
- グリッドコンピューティング:
- HPCを実現する技術の一つ。ネットワーク上の複数のコンピュータに処理を分散して、大規模な1つの処理を行う
- 例:
- 中央のサーバが処理を並列にできる単位に分け、ネットワーク上の異なるコンピュータで並列処理する
- クラスタとの違い:
- 構成するコンピュータは、PCから大型コンピュータまでいろいろでよい
ロードバランサ(負荷分散装置)
- ロードバランサ(LB):
- サーバへの要求を一元管理し、同じ機能を持つ複数のサーバに振り分けて負荷を分散する装置。サーバの稼働監視機能も持つ
- サーバの稼働監視
- レイヤ3:
- レイヤ4:
- TCPコネクション確立要求への応答を確認するサービス監視
- レイヤ7:
- 負荷分散方式
| 方式 |
振り分け方 |
| ラウンドロビン |
決めた順番で各サーバに振り分ける |
| 加重ラウンドロビン |
サーバの処理能力に応じて振り分ける |
| 最少クライアント数 |
接続中のクライアント数が最も少ないサーバへ |
| 最小負荷 |
CPU使用率が最も低いサーバへ |
混同しやすいペア
- フェールオーバクラスタ(アクティブ/スタンバイ)/負荷分散クラスタ(アクティブ/アクティブ)
- HAクラスタ(高可用性が目的)/HPCC(高い計算能力が目的)
- シェアードエブリシング(ストレージ共有、競合がボトルネック)/シェアードナッシング(1対1、拡張性が高いが1台故障に弱い)
- クラスタ(同等の機械を束ねる)/グリッド(PCから大型機まで、バラバラの機械で処理を分散)
- ラウンドロビン(順番)/加重ラウンドロビン(処理能力に応じて)
- 最少クライアント数(接続数で見る)/最小負荷(CPU使用率で見る)
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