このページでは、意思決定の原理、線形計画法、定期発注と定量発注・経済的発注量、QC七つ道具と新QC七つ道具、抜取検査とOC曲線がわかります。
- 一言で言うと:
- 会社の判断や管理を「数字で」行うための道具箱。どれを選ぶか、どう作るか、どれだけ在庫を持つか、品質をどう守るかを、計算や図で決める話。計算問題が出やすい節。
選ぶ(意思決定)→ 配分する(線形計画法)→ 作業時間を測る(IE)→ 在庫を持つ(在庫管理)→ 品質を守る(品質管理)→ 検査する(検査)
覚え方の軸
- 意思決定は「確率がわかるか」で分ける:
- わからなければマクシミン(悲観)かマクシマックス(楽観)、わかれば期待値
- 在庫管理は「何を固定するか」で分ける:
- 日を固定(定期発注、Aランク)、量を固定(定量発注、Bランク)、棚を2つ(2ビン法、Cランク)
- 最適化の答えは「つり合う点」か「角」:
- 経済的発注量は発注費用=保管費用のとき、線形計画法の答えは領域の頂点のどれか
- 品質の道具は「数値データか、言葉のデータか」で分ける:
- QC七つ道具は数値、新QC七つ道具は言葉
- 検査の失敗は「誰が損をするか」で分ける:
- 良いロットが落ちる(生産者危険)、悪いロットが通る(消費者危険)
意思決定に用いる手法:どの作戦を選ぶか
- 意思決定:
- 判断基準に基づいて、複数の代わりの案から1つを選ぶこと
- 意思決定のプロセス:
- ①情報を集めて問題を見つける → ②問題を定式化する → ③代わりの案を探す → ④各案の結果を予想・評価する → ⑤選択基準で案を選ぶ
次の利得表(作戦P1〜P3と、起こりうる状況S1〜S3ごとの利益)で考える。
| S1 | S2 | S3 | |
|---|---|---|---|
| P1 | 60 | 20 | −30 |
| P2 | 25 | 10 | 20 |
| P3 | 40 | 35 | −10 |
確率がわからないとき(ゲーム理論)
- ゲーム理論:
- 同業他社の影響を受ける競争の問題を解く手法の一つ
- マクシミン原理(悲観派。最も保守的):
- 各作戦の最悪の値の中で、一番ましなものを選ぶ
- 最悪の値はP1が−30、P2が10、P3が−10 → P2を選ぶ
- マクシマックス原理(楽観派):
- 各作戦の最高の値の中で、一番大きいものを選ぶ
- 最高の値はP1が60、P2が25、P3が40 → P1を選ぶ
- 覚え方:
- 「マクシミン」はmin(最悪)の中のmax、「マクシマックス」はmax(最高)の中のmax
確率がわかるとき(期待値原理)
- 期待値(理論的な平均値)=
- Σ(値 × 確率)= X1×P1 + X2×P2 + … + Xn×Pn
- 期待値が一番大きい作戦を選ぶ
- 確率がS1=0.2、S2=0.5、S3=0.3のとき
- P1:
- 60×0.2+20×0.5+(−30)×0.3=13
- P2:
- 25×0.2+10×0.5+20×0.3=16
- P3:
- 40×0.2+35×0.5+(−10)×0.3=22.5 ← 最大なのでP3を選ぶ
- 同じ表でも、選び方の原理によって答えが変わる(マクシミンはP2、マクシマックスはP1、期待値はP3)
- P1:
市場シェアの予測(推移確率)
- 「今回Aを買った人が次回もAを買う確率は0.7、Bに移る確率は0.3」「今回Bを買った人が次回Aに移る確率は0.2、Bのままの確率は0.8」とする
- 2回後の確率は、この推移行列を2乗して求める。Aの人が2回後にAを買う確率は0.7×0.7+0.3×0.2=0.55、Bの人が2回後にAを買う確率は0.2×0.7+0.8×0.2=0.30
- 今のシェアがAが60%、Bが40%なら、2回後のAのシェアは60%×0.55+40%×0.30=45%
線形計画法:限られた材料で利益を最大にする
- 線形計画法(LP):
- 1次式で表される制約条件のもとで、資源をどう配分すれば利益が最大になるかを解く
- 例:
- 製品Pと製品Qを作る(利益はPが1台3万円、Qが1台4万円)。材料Xは100kg、材料Yは150kgまで使える
| P | Q | |
|---|---|---|
| 材料X(kg) | 2 | 1 |
| 材料Y(kg) | 1 | 3 |
- 手順1:式にする(定式化)(Pをx台、Qをy台作るとする)
- 材料Xの制約:
- 2x+y ≦ 100
- 材料Yの制約:
- x+3y ≦ 150
- x ≧ 0、y ≧ 0(非負条件)
- 利益(目的関数):
- z=3x+4y
- 材料Xの制約:
- 手順2:グラフの角(頂点)を調べる。最適解は、条件を満たす領域の頂点のどれかになる
- (0, 50) → z=200
- 2本の線の交点 (30, 40) → z=250 ← 最大
- (50, 0) → z=150
- 答え:
- Pを30台、Qを40台作ると、最大で250万円の利益
- 交点の出し方:
- 2x+y=100 から y=100−2x。これを x+3y=150 に入れると 5x=150 なので x=30、y=40
- シンプレックス法:
- コンピュータで解く方法
- 制約の式に、資源の余りを表すスラック変数(余裕変数)を入れて、連立一次方程式にする
- 原点(頂点O)から出発し、隣の頂点に移ると解が良くなるかを調べ、良くならなくなった頂点を最適解とする
- 実際には、係数を表にしたシンプレックス・タブローを使い、ガウス・ジョルダン法(ガウスの消去法)に似た操作で解く
IE分析手法:作業時間を測る
- IE(Industrial Engineering):
- 経営工学
| 手法 | 別名 | やり方 |
|---|---|---|
| ワークサンプリング法 | 瞬間観測法 | 決めた時刻(ランダムに設定)に瞬間的に観測し、観測した作業の比率から統計的に作業時間を見積もる |
| PTS法 | 規定時間標準法 | 作業を基本動作に分解し、あらかじめ決められた標準時間を当てはめて合計する |
| ストップウォッチ法 | 時間観測法 | ストップウォッチで何回か繰り返し測る |
在庫管理手法:在庫をどれだけ持つか
- 在庫管理:
- 在庫量を最適に保つため、商品ごとの発注時期と発注量を決めて管理すること
| 方式 | やり方 | 向いている品目 |
|---|---|---|
| 定期発注方式 | 発注間隔を決めておき、発注日ごとに在庫量を調べ、需要を予測して発注量を決める。需要の変動が大きくても在庫切れの危険が少なく、きめ細かく管理できる | 重要なAランク品 |
| 定量発注方式(発注点方式) | 在庫が発注点を下回ったら、決まった量(最適発注量)を発注する。管理は楽だが、需要が大きく変わると在庫切れの危険がある | Bランク品 |
| 2ビン法(ダブルビン法、二棚法) | 棚AとBを用意し、Aから使い、AがなくなったらBを使い、その間にAの分を発注する | 安いCランク品 |
- 定期発注の発注量=
- 在庫調整期間中の需要予測量 − 発注時の在庫量 − 発注時の発注残 + 安全在庫
- 在庫調整期間=
- 調達期間 + 発注間隔
- 発注点=
- 調達期間中の需要の平均値 + 安全在庫
- 例:
- 1日平均10個売れ、届くまで5日かかり、安全在庫が20個なら、発注点=10×5+20=70個
- 安全在庫(安全余裕):
- 在庫切れを起こさないために持つ余分の在庫
- 経済的発注量(EOQ):
- 在庫の総費用(発注費用+保管費用)が最小になる発注量。定量発注方式ではこれを最適発注量にする
- 1回にたくさん頼むと、発注回数が減って発注費用は下がるが、平均在庫が増えて保管費用が上がる。発注費用=保管費用のときに総費用が最小になる
- 考え方(調達期間ゼロ、需要一定のモデル。D:年間需要量、Q:発注量、S:1回の発注費、P:1個の年間保管費)
- 発注回数=D/Q、発注費用=(D/Q)×S
- 平均在庫量=Q/2、保管費用=P×(Q/2)
- 両者を等しいとおくと、Q=√(2DS/P)
- 例:
- D=1,000個、S=500円、P=100円なら、Q=√(2×1000×500÷100)=√10000=100個(発注費用も保管費用も5,000円で等しい)
- 指数平滑法(需要予測によく使う):
- 翌期の予測値 Ft+1 = Ft + α(Dt − Ft)(Ft:当期の予測値、Dt:当期の実績値、α:平滑化定数 0<α<1)
- 例:
- 予測100個、実績120個、α=0.3なら、次の予測=100+0.3×20=106個
品質管理手法:品質を守る道具
- QC七つ道具は数値データを統計的に解析する道具(もとは製造業向け。今はいろいろな分析に使う)
- パレート図:
- 項目を多い順に棒グラフで並べ、累積和(累積比率)を折れ線で描いた図。重点的に対応すべき問題を絞り込む(例:不良品の発生要因の上位を絞る、売れ筋商品を把握する)
- ABC分析:
- 累積比率が70〜80%までをAランク、80〜90%をBランク、90〜100%をCランクとし、Aを主要要因とする
- パレートの法則:
- 上位20%の原因が全体の80%を占める(例:売上の80%は上位20%の商品)。Aランクに資源を集中させると費用対効果が高い
- ロングテール:
- ネット販売では、これまで「死に筋」だった下位商品の売上合計も無視できない。多品種少量販売で大きな売上や利益が得られるという考え方
- 散布図(分布図、相関図):
- 2つの要素を点で打ち、関係(相関)を見る
- 管理図:
- 工程に異常がないか、異常が偶然か見逃せない原因によるものかを判断する折れ線グラフ
- 中心線(CL:平均値)と、上下の管理限界線(UCL、LCL)を引く。3シグマ法では、UCL=CL+3σ/√n、LCL=CL−3σ/√n(σ:標準偏差、n:標本数)
- 異常の判断基準:
- ①点が管理限界線の外側か線上にある ②連続3点中2点が管理限界線の近くにある ③7点以上連続で中心線の上側か下側にある ④7点以上連続で上昇か下降している ⑤点が一定の周期で変動している
- 種類:
- x̄管理図、x管理図、R(レンジ)管理図、p(不良率)管理図、pn(不良個数)管理図、c(欠点数)管理図など
- 特性要因図:
- 特性(結果)と要因(原因)の関係を体系的にまとめた魚の骨の形の図。本質的な原因を追求するのに有効
- ヒストグラム:
- データを区間に分け、区間ごとの個数を棒グラフにした図。ばらつきをとらえる
- 層別管理:
- データを日時、地域、環境などで分け、層グラフで表す。項目間の違いや問題のある項目がわかる
- チェックシート:
- 項目別に件数を数えたり、確認のチェックをしたりする表
- パレート図:
- 新QC七つ道具は言葉のデータを図に整理して、複雑で漠然とした問題を解決する道具
- 連関図法:
- 問題と原因を矢印で結び、絡み合った因果関係を明確にする
- 系統図法:
- 目的を手段に、その手段をさらに手段に、と「目的−手段」の関係で段階的に展開し、最適な手段を見つける
- PDPC法:
- 起こりうる状況や結果を事前に予測して対応策を考え、望ましい結果に至るプロセスを決める
- 親和図法:
- ブレーンストーミングなどで集めた情報を、関係の近いものどうしでグループ化し、問題点を明確にする
- アローダイアグラム法:
- 手段や方策を実施する順番、つまり日程計画を立てる
- マトリックス図法:
- 行と列の交点に、要素間の関係の有無や度合いを示す
- マトリックスデータ解析法:
- マトリックス図の関係を数値で表せるとき、多変量解析(主成分分析や因子分析など)で分析する
- 連関図法:
- ブレーンストーミング:
- 斬新なアイデアを幅広く出すための討議方法。ルールは批判禁止、自由奔放、質より量、結合・便乗
- TQC(Total Quality Control):
- 企画設計から製造販売、アフターサービスまでの全プロセスで総合的に品質管理を行うこと。それを業務や経営全体に広げたものがTQM
検査手法:全部は調べられないとき
- 全数検査が最良だが、時間と費用がかかりすぎたり、壊して調べる検査では不可能だったりする
- 抜取検査:
- ロット(最小の製造単位、または検査対象の製品のまとまり)から大きさnのサンプルを抜き取り、不良個数が合格判定個数c以下ならロットを合格にする
- nとcは抜取検査表で決める(ロット数からnを、nと合格品質水準(AQL)からcを求める)
- OC曲線(検査特性曲線):
- ロットの不良率と、そのロットが合格する確率の関係を表したグラフ
- 例(n=20、c=1):
- 不良率5%のロットの合格率は約74%、不良率15%のロットの合格率は約18%
- 合格率は二項分布で計算する:
- Σ(i=0〜1)₂₀Cᵢ × pⁱ × (1−p)²⁰⁻ⁱ(20個中、不良が0〜1個なら合格だから)
- 不良率5%なら、0.95²⁰ + 20 × 0.05 × 0.95¹⁹ ≒ 0.358 + 0.377 ≒ 0.74
- 2つの危険(不良率5%以下のロットを合格にしたい場合)
- 生産者危険:
- 良いロットなのに不合格になる確率(作った側が損をする)。例では不良率5%のロットが約26%の確率で不合格になる
- 消費者危険:
- 悪いロットなのに合格してしまう確率(買った側が損をする)。例では不良率15%のロットが約18%の確率で合格になる
- 生産者危険:
混同しやすいペア
- マクシミン(悲観的。最悪の値の中で最大を選ぶ)/マクシマックス(楽観的。最高の値の中で最大を選ぶ)/期待値原理(確率がわかるとき)
- 定期発注(日を決める、発注量は変わる、Aランク向き)/定量発注(量を決める、発注日は変わる、Bランク向き)/2ビン法(Cランク向き)
- QC七つ道具(数値データ)/新QC七つ道具(言葉のデータ)
- 連関図法(因果関係を矢印でつなぐ)/系統図法(目的と手段をツリーにする)/親和図法(似た意見をグループ化する)/PDPC法(事前に予測して対策する)
- パレートの法則(上位20%に集中する)/ロングテール(下位の商品も積み重なると大きい)
- 生産者危険(良いロットが不合格になる)/消費者危険(悪いロットが合格になる)
- ワークサンプリング(ランダムな時刻に瞬間を観測)/PTS(基本動作の標準時間を足す)/ストップウォッチ(実際に測る)
- TQC(品質管理を全プロセスで)/TQM(経営全体に広げたもの)