ストレージ関連技術
2026.10.08
このページでは、RAIDの各レベルの仕組みと稼働率、NASとSAN(FC、iSCSI、FCoE)の違い、大量データを分散処理するHadoopがわかります。
- 一言で言うと:
- ディスクを何台かまとめて速く・安全にする方法(RAID)と、ストレージをサーバにどうつなぐか(DAS、NAS、SAN)の話。
まとめて速く・安全に(RAID)→ データのしまい方(ストレージの種類)→ どうつなぐか(接続形態)→ 大量データの分散処理(Hadoop)
覚え方の軸
- RAIDは「分ける(ストライピング)」「写す(ミラーリング)」「直す情報を足す(パリティ)」の組合せ:
- 0=分けるだけ、1=写すだけ、3・4・5=分けてパリティ1つ、6=パリティ2つ
- RAID3・4・5は「単位」と「パリティの置き方」で区別する:
- 3はビット・固定、4はブロック・固定、5はブロック・分散
- 何台壊れても大丈夫か:
- 稼働率の式は「k台のうち何台動けばよいか」で作る(信頼性計算の直列・並列・2 out of 3 の応用)
- 接続形態は「どこにつなぐか」:
- サーバに直接(DAS)、LANに(NAS、ファイル単位)、専用ネットワークに(SAN、ブロック単位)
RAID:ディスクをまとめて速く・安全にする
- RAID(Redundant Arrays of Independent Disks):
- 複数の記憶装置をまとめて1つの論理的な装置(ディスクアレイ)として扱い、入出力の高速化や信頼性の向上を実現する技術。実現方法でレベルがある
- "I"を「Inexpensive(安価な)」とする場合もある(安いディスクを組み合わせる、という意味)
- 用語
- ストライピング:
- ミラーリング:
- パリティ:
- エラー訂正情報(例:データ1と2の排他的論理和)。1台が壊れても、残りから復元できる
- 各レベル(ディスク1台の稼働率をRとする)
| レベル |
中身 |
長所・短所 |
稼働率 |
| RAID0 |
ストライピングだけ |
入出力の速度は上がる。1台でも壊れると使えない(信頼性なし) |
R²(2台) |
| RAID1 |
ミラーリング |
1台壊れても動く。同じデータを何台にも書くので冗長度(重複度)が高い |
2R − R²(2台) |
| RAID2 |
RAID0+ハミング符号(エラー訂正符号)用のディスク |
遅いうえ、最小でもデータ用2台+訂正用3台の計5台が必要で、導入実績はほとんどない |
― |
| RAID3 |
RAID0+パリティディスク。ビット単位でストライピング |
1台の故障まで復元できる |
― |
| RAID4 |
RAID0+パリティディスク。ブロック単位でストライピング |
読込みは速いが、書込みはパリティディスクにアクセスが集中してあまり速くない |
3R² − 2R³(3台) |
| RAID5 |
RAID4を改良し、データとパリティを分散。ブロック単位 |
パリティへのアクセス集中を防いで高速化。1台の故障まで復元できる |
3R² − 2R³(3台) |
| RAID6 |
通常のパリティに加え、別の計算方法のパリティも足す(2種類) |
2台壊れても動く |
R⁴ + 4R³(1−R) + 6R²(1−R)²(4台) |
| レベル |
ストライピング単位 |
冗長ディスク構成 |
| RAID3 |
ビット |
固定 |
| RAID4 |
ブロック |
固定 |
| RAID5 |
ブロック |
分散 |
- エラー訂正符号(ECC:Error Correcting Code):
- エラーの検出・訂正のため、元のデータに付ける冗長ビット。データ誤りを自動訂正するメモリをECCメモリという
- RAIDの組合せ
- RAID01(RAID0+1):
- ストライピングしたディスク群を1つの単位としてミラーリングする。RAID0の高速性を保ちながら高信頼性を実現
- 稼働率(4台):
- (R²)² + 2R²(1 − R²) = 2R² − R⁴
- RAID10(RAID1+0):
- ミラーリングしたディスク群を1つの単位としてストライピングする。RAID1の高信頼性を保ちながら高速化
- 稼働率の例(R=0.9 として検算)
- RAID0:
- RAID1:
- RAID5(3台):
- 3×0.81 − 2×0.729 = 2.43 − 1.458 = 0.972
- RAID6(4台):
- 0.6561 + 0.2916 + 0.0486 = 0.9963
- RAID01(4台):
- 補足:
- RAID10(4台)は、ミラー組(0.99)2つの直列なので 0.99² = 0.9801。同じ4台ならRAID10のほうがRAID01より稼働率が高い
- RAID5の式の意味:
- 「3台とも正常(R³)」+「2台正常・1台故障(3通り × R²(1−R))」= 3R² − 2R³(後で出てくる 2 out of 3 と同じ形)
データの保管形式によるストレージの種類
| 種類 |
中身 |
関連 |
| ファイルストレージ |
最も一般的。中をディレクトリやフォルダで階層化し、ファイル単位で保存 |
DAS、NAS |
| ブロックストレージ |
階層化せず、ブロックという単位で保存 |
FC、iSCSI、FCoEで作るSAN |
| オブジェクトストレージ |
オブジェクトという単位で扱う。階層構造はなく、オブジェクトどうしはフラット。非構造型データに向き、大容量で拡張性がある |
― |
ストレージの接続形態:どうつなぐか
- DAS(Direct Attached Storage):
- NAS(Network Attached Storage):
- LANに直接つなぐストレージ。ファイル共有に特化したOSやネットワークインタフェースを持つ(ファイルサーバ専用機)
- 長所:
- 従来のファイルサーバより高速。NFSやCIFSなどのファイル共有プロトコルに対応しているので、異なるOS間でもファイルを共有できる
- 短所:
- LAN上をストレージのデータが流れるので、帯域を圧迫する
- RAID構成の場合もある
- NFS:
- CIFS(Common Internet File System):
- Windows系OSのファイル共有で使うSMBを拡張し、Windows以外でも使えるようにしたもの。TCP/IPでファイル共有を行う
- 注意(最新情報):
- CIFSはSMBの古い版(SMB 1.0系)の呼び方で、現在のWindowsでは標準で無効。今はSMB 2・3が主流。試験では上の理解でよい
- SAN(Storage Area Network):
- サーバとストレージを、普通のLANとは別の高速ネットワークでつないだストレージ専用ネットワーク
- 長所:
- ストレージが統合されているので、各サーバの要求に柔軟に対応できる。専用ネットワークなので高速で信頼性が高い
- アクセス(データ転送)はブロック単位
- SANの作り方
| 種類 |
中身 |
ポイント |
| FC-SAN |
ファイバチャネル(FC)で作る。FCはSCSI-3のサブセットで、ギガビット級の転送能力を持つ |
従来の主流。FCは電気ケーブルでも光ファイバでも作れる |
| IP-SAN |
iSCSIを使う。SCSIコマンドをカプセル化してTCP/IPで送受信する |
FC-SANより安く作れるが、TCP/IPを使うので処理のオーバヘッドが大きい |
| FCoE |
Fibre Channel over Ethernet。TCP/IPを使わずに、FCフレームを直接イーサネットで送る。LAN環境とFC-SAN環境を統合する技術 |
iSCSIよりオーバヘッドが少ない。既存のEthernetではなく、高信頼・高性能な拡張Ethernetを使う |
- プロトコルの重なり方
- iSCSI:
- SCSI → iSCSI → TCP → IP → Ethernet(IPネットワーク上でSCSIコマンドが使える)
- FCoE:
- FCP → FCoE → Ethernet(FCを使わずにサーバとストレージをつなげる)
- FCP:
Hadoop
- Hadoop:
- 大規模データを複数のサーバで分散処理するためのミドルウェア(ソフトウェアライブラリ)。扱うデータはペタバイト(PB)級(1PB = 2⁵⁰ ≒ 10¹⁵ バイト)
- HDFS(Hadoop Distributed File System):
- 複数のサーバに分散したデータを論理的にまとめた、大規模な分散ファイルシステム
- MapReduce:
- 複数のサーバで分散処理を実行するフレームワーク。分散並列処理を実現する
混同しやすいペア
- ストライピング(分けて速く、RAID0)/ミラーリング(写して安全、RAID1)
- RAID3(ビット・固定)/RAID4(ブロック・固定)/RAID5(ブロック・分散)
- RAID5(パリティ1つ、1台まで)/RAID6(パリティ2つ、2台まで)
- RAID01(ストライピングしてからミラー)/RAID10(ミラーしてからストライピング)
- NAS(LANにつなぐ、ファイル単位、帯域を圧迫)/SAN(専用ネットワーク、ブロック単位)
- iSCSI(TCP/IPに載せる、安いがオーバヘッド大)/FCoE(TCP/IPを使わずイーサネットに直接、オーバヘッド小)
- ファイルストレージ(階層あり)/ブロックストレージ(ブロック単位、SAN)/オブジェクトストレージ(フラット、非構造型データ)
- HDFS(分散ファイルシステム)/MapReduce(分散処理のフレームワーク)
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