ビジネスインダストリ

このページでは、EDIとフィンテック、JITやMRPなどの生産の仕組み、OEMとファブレス、IoTの通信規格、技術開発とイノベーションの用語がわかります。

  • 一言で言うと:
    • ITが実際のビジネスや産業(取引、お金、工場、IoT)でどう使われているかを集めた用語集。暗記用の用語が中心の節。

会社間の取引とお金(e-ビジネス)→ ものづくり(エンジニアリングシステム)→ モノがつながる(IoT)→ 技術開発の考え方

覚え方の軸

  • 場面で3つに分ける:
    • 取引とお金(e-ビジネス)、工場(エンジニアリング)、モノ(IoT)
  • 「誰が何を外に出すか」で区別する:
    • 仕事を出す(クラウドソーシング)、お金を集める(クラウドファンディング)、生産だけ頼む(OEM)、設計から頼む(ODM)、工場を持たない(ファブレス)
  • IoTの通信規格は「どれだけ遠くに、どれだけ省電力で」「TCPかUDPか」で区別する
  • 段階や順番があるものは、順番ごと覚える:
    • IoTの効果(監視 → 制御 → 最適化 → 自律化)、サイバーキルチェーン(7段階)、研究開発の3つの壁(川 → 谷 → 海)、ハイプ曲線(5段階)

e-ビジネス:取引とお金のデジタル化

  • EDI:
    • 受発注、見積り、出入荷などのデータを、標準的な形式で企業間で電子的にやり取りする仕組み。4つの規約がある
    • 情報伝達規約:
      • 通信に使うプロトコル
    • 情報表現規約:
      • データ(メッセージ)の形式(★試験では、情報表現規約で決めるものが問われる)
    • 業務運用規約:
      • 業務やシステムの運用
    • 基本取引規約:
      • EDIでデータ交換することへの合意
  • XBRL:
    • 企業の財務情報を電子データで記述するための、XMLベースの言語。標準化されているので、パッケージやプラットフォームに依存しない
  • 仮想通貨:
    • インターネット上でやり取りするデジタル通貨。国が価値を保証しない(法定通貨=日本円やドルのように国が価値を保証する通貨、ではない)ので「通貨ではない財産的価値」とされる
    • 公開鍵暗号やハッシュ関数などの暗号技術を使うので、暗号資産ともいう
    • 偽造や二重払いを暗号技術で防ぎ、ブロックチェーンでデータの真正性を保つ
  • オープンAPI:
    • 自社サービスのAPIを他社に公開すること。安全なデータ連携ができ、オープンイノベーション(外部から技術やアイデアを募って新しいサービスを作る取組)を促す。APIによる経済圏をAPIエコノミーという
  • フィンテック(FinTech):
    • 金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。APIが要の技術
    • 更新系API:
      • 顧客の同意のもと、銀行以外のシステムから支払や送金ができる
    • 参照系API:
      • 一度の認証で、複数の金融機関の口座情報を見られる(アグリゲーションサービス、アカウントアグリゲーション。例:家計簿アプリで、複数の銀行やカードの残高・明細をまとめて見る)
  • その他の用語
    • クラウドソーシング:
      • ネットで仕事(Web制作、デザイン、プログラミングなど)を告知し、不特定多数に外注する
    • クラウドファンディング:
      • ネットで目的を告知し、不特定多数から資金を集める
    • シェアリングエコノミー:
      • SNSなどを使って、個人が持つ使っていない資産を個人間で貸し借りする
    • CMS(コンテンツ管理システム):
      • 専門知識がなくても、テキストや画像を入力するだけでWebサイトを作れる。配信やバージョン管理の機能もある
    • CGM(消費者生成メディア):
      • 口コミサイト、掲示板、SNSのように、ユーザーが参加して内容ができていくメディア

エンジニアリングシステム:ものづくりの仕組み

  • JIT(Just In Time):
    • 中間在庫を減らすため、「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ作る」考え方(試験では「ジャストインタイム」と書かれることもある)
    • かんばん方式:
      • 後の工程が、生産指示票(かんばん)を前の工程に渡して、必要な部品を引き取る
  • FMS(Flexible Manufacturing System):
    • 自動製造機械や自動搬送装置をネットワークでつないで集中管理する。1つのラインで作る製品を固定せず、製品の変更や多品種少量生産に対応できる
  • PDM(Product Data Management):
    • 図面、部品構成、仕様書など、設計・開発で出る情報を一元管理する
  • PLM(Product Lifecycle Management):
    • PDMをベースに、企画・設計から製造、販売、保守、リサイクルまで、製品の一生の情報を一元管理する。開発期間の短縮、コスト低減、商品力の向上が目的
  • MRP(資材所要量計画):
    • 在庫不足をなくし、在庫を減らすための生産管理手法。「何が、いつ、いくつ必要か」を出して発注・製造を管理する
    • 手順:
      • 生産計画(基準生産計画)と部品構成表から総所要量を出す → 在庫情報(在庫残、注文残、仕掛残)を使って正味所要量(不足分)を出す → 調達期間や製造時間から逆算して、発注時期と製造時期を決める
  • 製造の委託
    • EMS:
      • 生産設備を持つ企業が、他社から委託を受けて電子機器を製造するサービス
      • OEM:
        • 設計は発注元が行い、生産だけを請け負う
      • ODM:
        • 設計から製造まで請け負う
    • ファウンドリ:
      • 半導体業界のEMS。発注元の設計図に基づいて、半導体の製造だけを行う
    • ファブレス:
      • 生産設備を持たず、製品の企画を行い、生産を他社に委託する企業
立場 利点
ファブレス企業 工場を持たないので、設備投資や人件費を抑えられる。需要の変動や製品寿命に伴うリスクを減らせる
受託企業(EMS企業、ファウンドリ企業) 多くの企業から製造を請け負うので生産規模を確保でき、部品の大量購入で調達コストも下げられる
  • RFID:
    • 小さなICとアンテナを組み合わせたICタグ(一般にはアンテナから電力を受けるパッシブ方式)。触れずに読み書きでき、汚れに強く、複数のタグに一斉にアクセスできる。無人搬送車への行き先指示や、IoTのセンサとして「モノの見える化」に使う

IoT関連:モノがネットにつながる

  • IoT:
    • さまざまなモノがつながり、情報をやり取りする「モノのインターネット」
  • IoTがもたらす効果の4段階
    • 監視:
      • 離れた場所のモノの状態を知る
    • 制御:
      • 決めた状態になったら、モノに指示を出す
    • 最適化:
      • 複数の複雑な指標をリアルタイムで見て、最適な状態に導く
    • 自律化:
      • 最低限の指示だけで、人間のように自分で判断して動く
  • SoS(System of Systems):
    • IoTどうしが連携し、複数のシステムの組み合わせで新しい価値を生むという考え方
  • NOTICE:
    • 総務省、NICT(情報通信研究機構)、ISPが連携した取組。推測されやすいパスワードを使っているなど、攻撃に悪用されるおそれのあるIoT機器を調べて、利用者に注意を呼びかける
  • Mirai:
    • 工場出荷時のままの弱いパスワードを使うIoT機器を狙うマルウェア。ランダムなIPアドレスのtelnetポートにログインを試みて感染を広げ、C&Cサーバの指令でDDoS攻撃を行う
  • IoTセキュリティガイドライン:
    • IoT推進コンソーシアム、総務省、経済産業省が作ったガイドライン。開発からサービス提供までを5段階に分けて対策を示す。「一般利用者のためのルール」も定めている
段階 対策の指針
1. 方針 IoTの性質を考えた基本方針を定める
2. 分析 IoTのリスクを認識する
3. 設計 守るべきものを守る設計を考える(つながる相手に迷惑をかけない、不特定の相手とつながっても安全安心を保つ、設計を評価・検証する)
4. 構築・接続 ネットワーク上での対策を考える(用途に応じて適切に接続する、初期設定に気をつける、認証機能を入れる)
5. 運用・保守 安全安心な状態を保ち、情報を発信・共有する
  • EDSA認証:
    • 組込み制御機器のセキュリティ保証の認証制度。2019年に改訂されてCSA認証になったが、内容は大きく変わっていない
    • 評価項目:
      • ①開発プロセスのセキュリティ評価 ②セキュリティ機能評価 ③通信に対する堅牢性評価(実機試験。不正な形式のメッセージを送るファジングなどを使う)
  • TPM:
    • IoT機器やPCに載せるセキュリティチップ。RSAの鍵ペアの生成、ハッシュ演算、暗号処理、デジタル署名の生成と検証を行う。耐タンパ性があり、中の鍵などを外から取り出しにくい
  • サイバーキルチェーン:
    • 攻撃者の手順を7段階にモデル化したもの。段階ごとに防御策を考える
    • 偵察(事前調査)→ 武器化(攻撃コードやマルウェアを作る)→ 配送(メールやWebで送り込む)→ 攻撃(実行させる)→ インストール(感染させる)→ 遠隔操作(C&Cサーバにつなぐ)→ 目的実行(情報を盗むなど)
  • MITRE ATT&CK:
    • 攻撃者の戦術と技術を分類したナレッジベース。サイバーキルチェーンと補い合って、具体的な防御策まで落とし込める
  • 通信規格・通信技術
規格 一言で言うと
BLE Bluetooth 4.0で追加された低消費電力版。ボタン電池で半年〜数年動く。2.4GHz帯、10〜400m程度。Bluetooth 3.0以前とは互換性がない
ZigBee 下位層にIEEE 802.15.4を使う。2.4GHz帯。安くて省電力だが、低速で短距離。センサネットワーク向け
LPWA 低消費電力で広範囲(最大50km程度)の技術の総称。ライセンス系(LTE Cat.M1、NB-IoT)と、920MHz帯を使うアンライセンス系(LoRaWAN、Wi-SUN)がある
6LoWPAN IEEE 802.15.4の上でIPv6を使うためのプロトコル。インターネットと相性がよい
MQTT パブリッシュ/サブスクライブ型の軽量プロトコル。送信元(パブリッシャ)がMQTTサーバに送り、サーバが適切な受信先(サブスクライバ)だけに届ける。TCPを使う
CoAP 資源に制約のある機器向けの軽量プロトコル。UDPでリクエスト/レスポンス型(IoT版HTTP)を実現する
EnOcean スイッチを押す力などのエネルギーハーベスティング(環境発電)で動く。電池が要らない。消費電力はZigBeeの10分の1
  • LTE Cat.M1とNB-IoTは、IoT機器向けのLTE規格
  • M2M:
    • 機器どうしが直接通信する技術。IoTはインターネット経由が前提だが、M2Mは閉じたネットワークでの情報交換や自動制御が中心
  • エッジコンピューティング(エッジ処理):
    • データ処理の資源を端末の近くに置いて処理を分散する。ネットワークやサーバの負荷を減らし、リアルタイム性を高める
  • デジタルツイン:
    • IoTなどで集めた現実世界のデータで、デジタル空間に現実と同じ世界を作る。現実ではできないシミュレーションができる
  • HRTech:
    • 人事評価や採用など、人事の業務にAIやIoTを活用すること(Human Resources + Technology)

技術開発戦略に関連する基本用語

  • MOT(技術経営):
    • 技術開発に投資してイノベーションを促し、経済的価値の最大化を目指す経営の考え方。価値創出の3要素(技術・製品価値の創出 → 価値の実現 → 価値の収益化)を循環させて広げる
  • イノベーションの種類
    • ラディカルイノベーション:
      • これまでと全く違う価値基準をもたらす、急進的で根本的な技術革新
    • プロダクトイノベーション:
      • 製品そのものの技術革新
    • プロセスイノベーション:
      • 研究開発、製造、物流などの過程の技術革新
    • イノベーションのジレンマ:
      • 業界トップ企業が顧客ニーズを重視して既存技術の改良に力を入れた結果、革新的な技術に負けてシェアを失うこと
  • 技術のSカーブ:
    • 技術の進歩は、導入期(緩やか)→ 成長期(急激)→ 成熟期(鈍化)→ 衰退期 → 次の技術へ移行、と進む
  • コモディティ化:
    • 価格以外で他社と差がつかなくなること。その兆しが見えたら、次のSカーブを意識した研究を始める
  • ハイプ曲線(ハイプサイクル):
    • 技術への期待の推移。黎明期 → 流行期 → 幻滅期(反動期)→ 回復期 → 安定期
  • 研究開発の3つの壁(研究 → 開発 → 製品化 → 市場形成。「川を渡り、谷を越え、海に出る」の順)
    • 魔の川:
      • 基礎研究と開発の間の壁(例:開発してもコモディティ化が進んで差別化できない)
    • 死の谷:
      • 開発と製品化の間の壁(主に資金切れ)
    • ダーウィンの海:
      • 製品化と市場形成の間の壁(競争や顧客の受け入れという荒波)
  • TLO(技術移転機関):
    • 大学などの研究成果を特許にして、企業に技術移転する法人。収益の一部を研究者に戻して研究を活性化する(知的創造サイクル:知的創造 → 権利取得 → 権利活用)

混同しやすいペア

  • クラウドソーシング(仕事を外注する)/クラウドファンディング(お金を集める)
  • CMS(サイトを作る仕組み)/CGM(ユーザーが作るメディア)
  • OEM(生産だけ請け負う)/ODM(設計から請け負う)/ファブレス(工場を持たない)/ファウンドリ(半導体の製造だけ請け負う)
  • PDM(設計情報)/PLM(製品の一生の情報)
  • 総所要量(必要な全量)/正味所要量(在庫を引いた不足分)
  • MQTT(TCP、Pub/Sub)/CoAP(UDP、リクエスト/レスポンス)
  • BLE・ZigBee(近距離・省電力)/LPWA(遠距離・省電力)
  • IoT(インターネット経由)/M2M(閉じたネットワーク)
  • 更新系API(送金など)/参照系API(残高を見る)
  • プロダクトイノベーション(製品)/プロセスイノベーション(作り方や流れ)
  • 魔の川 → 死の谷 → ダーウィンの海(この順番)

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