このページでは、プロジェクトの定義、JIS Q 21500の5つのプロセス群と10の対象群、PMBOKの版による違い、スコープ・WBS・リスク対応などの管理活動がわかります。
- 一言で言うと:
- 期間限定のチームで「一度きりの仕事」をやり遂げるための管理の話
- 進め方の公式の型(JIS Q 21500とPMBOK)と、何を管理するか(範囲・時間・お金・リスクなど)が出てくる
プロジェクトとは何か → 進め方の型①JIS → 進め方の型②PMBOK → 主な管理活動
覚え方の軸
- プロジェクトの管理は「いつ(段階)× 何を(対象)」の2つの軸で整理する
- 段階が5つのプロセス群(立ち上げ → 計画 → 実行 → 管理 → 終結)
- 対象が10の対象群
- 同じテーマでも「決める=計画」「やる=実行」「見張る=管理」で群が変わる
- リスク、品質、チームで問われる
- JISとPMBOKは同じものの呼び名違い
- JISの「対象群」「管理」は、PMBOK第6版の「知識エリア」「監視・コントロール」にあたる
- 第7版は原則ベースに変わり、8つのパフォーマンス領域になった
- リスク対応はマイナスとプラスが対になっている
- 回避⇔活用、転嫁⇔共有、軽減⇔強化、受容⇔受容
プロジェクトマネジメントとは:一度きりの仕事をやり遂げる
- 定常業務:
- 決まった手順で繰り返す仕事
- 例えば、注文が来たら在庫確認 → 出荷 → 請求
- プロジェクト:
- 「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期的な業務」(PMBOKの定義)
- 特性は、期間限定のチームで行う/独自のものを作る/目的を達成したら終わる、の3つ
- 例えば、毎日のご飯作りは定常業務、引っ越しはプロジェクト
- 所産:
- 結果として生み出されたもの(経験や知見なども含む)
- プロジェクトの成功:
- 終わった=成功ではない
- スコープ・スケジュール・予算・品質などの制約条件を満たしたうえで、目的を達成できたかで決まる
- プロジェクトマネジメント:
- 互いに引っ張り合う制約条件をバランスよく調整して、プロジェクトを成功に導く管理活動
- 例えば、品質を上げると、納期が遅れたり予算が増えたりする
- インセプションデッキ:
- プロジェクトの最初に関係者で認識をすり合わせ、その共通認識をまとめたもの
- アジャイル開発の初期に使う
JIS Q 21500:2018:プロジェクトの進め方の「公式ルール」
- JIS Q 21500:2018:
- プロジェクトマネジメントの手引
- プロセスを2つの切り口で分類している
- 2つの切り口:
- 作業の段階で分ける → 5つのプロセス群
- 管理する対象で分ける → 10の対象群
- 10の対象群:
- 統合、ステークホルダ、スコープ、資源、時間、コスト、リスク、品質、調達、コミュニケーション
- 5つのプロセス群(★):
- 試験には、各群の説明文と、どのプロセスがどの群に入るかが出る
| プロセス群 | 何をする? | 主なプロセス |
|---|---|---|
| 立ち上げ | 目標を決め、PMが作業を進める許可を得る | プロジェクト憲章の作成、ステークホルダの特定、プロジェクトチームの編成 |
| 計画 | 計画の詳細を作る | 全体計画の作成、スコープの定義、WBSの作成、活動の定義、資源の見積り、プロジェクト組織の定義、活動の順序付け、活動期間の見積り、スケジュールの作成、コストの見積り、予算の作成、リスクの特定、リスクの評価、品質の計画、調達の計画、コミュニケーションの計画 |
| 実行 | 計画どおりに作業を進め、成果物を出すのを支える | 作業の指揮、ステークホルダのマネジメント、チームの開発、リスクへの対応、品質保証の遂行、供給者の選定、情報の配布 |
| 管理 | 計画と比べて監視・測定し、ずれを直す | 作業の管理、変更の管理、スコープの管理、資源の管理、チームのマネジメント、スケジュールの管理、コストの管理、リスクの管理、品質管理の遂行、調達の運営管理、コミュニケーションのマネジメント |
| 終結 | 完了を正式に確定し、教訓を残す | プロジェクトの終結、得た教訓の収集 |
- ひっかけ注意:
- 同じテーマでも、段階によって入る群が変わる
- リスクは、特定・評価が「計画」、対応が「実行」、管理が「管理」
- 品質は、品質の計画が「計画」、品質保証が「実行」、品質管理が「管理」
- チームは、編成が「立ち上げ」、開発(育てる)が「実行」、マネジメントが「管理」
- ステークホルダ:
- プロジェクトに関わる人や組織、またはプロジェクトの結果で利益に影響が出る人や組織すべて
- 顧客、供給者、ビジネスパートナ、資金提供者なども含む
| 区分 | 立場 | 役割 |
|---|---|---|
| ガバナンス | プロジェクト運営委員会(役員会) | 上の立場から指導する |
| ガバナンス | プロジェクトスポンサ | プロジェクトを許可し、経営判断をし、PMの権限を超える問題を解決する |
| 組織 | プロジェクトマネージャ(PM) | 活動を指揮し、完了に説明義務を負う |
| 組織 | プロジェクトマネジメントチーム | PMを支援する |
| 組織 | プロジェクトチーム | 実際に作業する |
| 組織 | PMO | 組織としての標準化、PMの教育訓練、計画や監視の支援(複数のプロジェクトを横から支える係) |
PMBOK:プロジェクトマネジメントの「知識の体系」
- PMBOK:
- プロジェクトマネジメントに必要な知識を体系化したもの
- PMBOKとJISの関係:
- PMBOK → 国際規格にしたのがISO 21500 → それをJISにしたのがJIS Q 21500
- 名前が少し違うだけで、中身はほぼ同じ
| 第6版 | 第7版 | |
|---|---|---|
| 考え方 | プロセスベース | 原理・原則ベース |
| 段階の分け方 | 5つのプロセス群(立ち上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結) | (プロセス中心ではなくなった) |
| 分類 | 10の知識エリア(JISの「対象群」にあたる) | 8つのパフォーマンス領域 |
- 第7版の8つのパフォーマンス領域:
- ステークホルダ、チーム、開発アプローチとライフサイクル、計画、プロジェクト作業、デリバリー、測定、不確実性
- JISの「管理」:
- PMBOK第6版では「監視・コントロール」と呼ぶ(中身は同じ)
- 注意(新しい情報):
- PMBOK第8版が2025年11月に英語版で発行され、日本語版も2026年に公開された
- パフォーマンス領域が7つ(ガバナンス、スコープ、スケジュール、ファイナンス、ステークホルダー、リソース、リスク)に組み直された
- 5つのプロセス群に沿ったプロセス(40個)が復活し、原則は12から6に整理された
- 試験は当面、第6版・第7版の内容で問われると考えられる。「第8版で7領域になり、プロセスが復活した」ことだけ頭の片隅に置いておく
プロジェクトマネジメントの活動:何を管理するか(★試験によく出る)
① 統合マネジメント:全体をまとめる
- プロジェクト憲章:
- プロジェクトを正式に承認する文書
- 書く内容は、概要と目的(妥当性)、ステークホルダの大まかな要求、PMの任命と責任・権限、ざっくりのスケジュールと予算
- プロジェクト作業の管理:
- 計画と比べて成果を測って評価し、必要なら是正処置や予防処置を求める
- 変更の管理:
- 変更要求を変更登録簿に記録する
- 影響(便益・スコープ・資源・時間・コスト・品質・リスク)を評価して、受け入れるか棄却するかを公式に決める
② スコープマネジメント:何を作り、何をやるか(範囲)を決めて守る
- スコープ:
- プロジェクトの範囲
- 「成果物」と、それを作るのに必要な「作業」のこと
- スコープの定義:
- 成果物、作業、受入基準、前提条件、制約条件、除外事項(やらないこと)をまとめる
- まとめる文書はプロジェクト・スコープ規定書(スコープ記述書ともいう)
- スコープの管理:
- 承認したスコープ(ベースライン)と今の状況を比べる
- 変更による悪い影響(脅威)を小さく、良い影響(機会)を大きくする
- WBS:
- 成果物と作業を、管理しやすい単位までツリー状に分解したもの
- 例えば、引っ越し → 荷造り/役所の手続き/運搬 → 荷造りを「台所」「本棚」「衣類」に分ける…
- ワークパッケージ:
- WBSの一番下の要素
- WBS辞書:
- WBSの各要素の詳細(階層、作業内容、完了基準、担当者など)を書いた文書
- 100%ルール(★):
- 子要素を全部集めるとちょうど親要素になる(漏れも重複もない)
- ローリングウェーブ計画法:
- 最初は大まかなWBSを作り、詳細がわかってきたら細かくしていく
- 活動(アクティビティ)の定義:
- ワークパッケージを、さらに小さなアクティビティに分解して一覧にする
③ スケジュールマネジメント(タイムマネジメント):期限内に終わらせる
- 主なプロセスの流れ(詳しくは後述):
- アクティビティの順序設定 → 所要期間の見積り → スケジュールの作成 → スケジュールの管理
- アクティビティの順序設定:
- アクティビティ間の順序関係を、ネットワーク図にまとめる
- アクティビティ所要期間の見積り:
- 三点見積法や類推見積法などで、各アクティビティの日数を見積もる
- スケジュールの作成:
- クリティカルパス法などで、スコープ規定書の前提条件や制約条件を満たすスケジュールを作る
- スケジュールの管理:
- スケジュールのずれを監視して、手を打つ
④ コストマネジメント:予算内に終わらせる
- 主なプロセスの流れ(詳しくは後述):
- コストの見積り → 予算の作成 → コストの管理
- コストの見積り:
- アクティビティごとに必要な費用を出す
- プロジェクトが進んで詳細が決まったら見直す
- コストの管理:
- コストとスケジュールの予定と実績の差や、完了時の総予算を測る
- コストが予算内に収まり、進捗がスケジュールに沿うように管理する
⑤ リスクマネジメント:チャンスを広げ、ピンチを減らす
- リスクの種類:
- マイナス(脅威)だけでなく、プラス(好機)もある
- 進め方:
- 特定 → 分析・評価 → 対応策を決める → コントロールする
| マイナス(脅威)への対応 | 中身 | 例え(屋外イベントの雨) |
|---|---|---|
| 回避 | 原因を取り除く。計画を変える | 屋内会場に変更する |
| 転嫁 | 影響や責任を第三者に移す。保険や保証契約など、主にお金での対応 | 雨天中止の保険に入る |
| 軽減 | 起きる確率や影響を、受け入れられる程度まで下げる | テントを用意する |
| 受容 | 特に何もしない | 小雨ならそのまま開催する |
| プラス(好機)への対応 | 中身 |
|---|---|
| 活用 | 好機を確実に実現する |
| 共有 | 好機をつかむ力が一番高い第三者と組む |
| 強化 | 好機の確率や効果を大きくする |
| 受容 | 特に何もしない |
- 対応関係で覚える:
- 回避⇔活用(確実に避ける/確実につかむ)
- 転嫁⇔共有(第三者が関わる)
- 軽減⇔強化(確率や影響を下げる/上げる)
- 受容⇔受容
- 積極的な受容:
- 起きたときのためにコンティンジェンシ計画を作っておく
- 消極的な受容:
- 何もせず、起きてから考える
- コンティンジェンシ計画:
- 起きるかどうかわからない(予測はできる)リスクが起きても、プロジェクトを成功させるための事前の対策
- コンティンジェンシ予備:
- わかっているリスクに備える予備の費用・時間・資源
- マネジメント予備:
- わからない(未知の)リスクに備える予備
- 予備設定分析:
- コンティンジェンシ予備やマネジメント予備を検討すること
混同しやすいペア
- 定常業務 / プロジェクト
- 定常業務は、決まった手順で繰り返す
- プロジェクトは、期限があり、一度きり
- プロジェクトスポンサ / PM / PMO
- スポンサは、プロジェクトを許可し、PMの権限を超える問題を解決する
- PMは、活動を指揮し、完了に説明義務を負う
- PMOは、組織として標準化・教育・支援を行う
- リスクの特定・評価 / リスクへの対応 / リスクの管理
- 特定・評価は「計画」
- 対応は「実行」
- 管理は「管理」
- JISの「管理」 / PMBOK第6版の「監視・コントロール」
- 呼び名が違うだけで、同じもの
- 対象群 / 知識エリア / パフォーマンス領域
- 対象群はJIS(10個)
- 知識エリアはPMBOK第6版(10個)
- パフォーマンス領域はPMBOK第7版(8個)
- WBS / WBS辞書 / ワークパッケージ
- WBSは、分解したツリー
- WBS辞書は、各要素の詳細を書いた文書
- ワークパッケージは、一番下の要素
- 転嫁 / 共有
- 転嫁は、マイナスのリスクを保険などで第三者に移す
- 共有は、プラスのリスク(好機)のために第三者と組む
- コンティンジェンシ予備 / マネジメント予備
- コンティンジェンシ予備は、わかっているリスク用
- マネジメント予備は、未知のリスク用
- 積極的な受容 / 消極的な受容
- 積極的な受容は、コンティンジェンシ計画を作っておく
- 消極的な受容は、起きてから考える