このページでは、PERTによる最早・最遅結合点時刻とクリティカルパスの計算、ファストトラッキングとクラッシング、PDM、クリティカルチェーン、進捗管理の図がわかります。
- 一言で言うと:
- 作業の順番を図にして「最短で何日かかるか」「どの作業が遅れたらまずいか」を求め、日程を縮め、進み具合をグラフで見張る話
- PERTの日数計算は毎回のように出る
作業の順番を図にする(PERT)→ 縮める(ファストトラッキング・クラッシング)→ 別の書き方(PDM、クリティカルチェーン)→ 進み具合を見張る(進捗管理)
覚え方の軸
- スケジュールは「作る → 縮める → 見張る」の3段階
- PERTの計算は「全部の経路を足して、一番長いもの=クリティカルパス」
- 最早は、左から右へ大きいほうを取る
- 最遅は、右から左へ小さいほうを取る
- 縮める方法は2つ
- 作業を並べるのがファストトラッキング
- 人やお金を足すのがクラッシング
- 図の書き方の違い
- PERTは、作業が矢印で、関係はFSだけ
- PDMは、作業が箱で、関係は4種類
- クリティカルチェーンは、資源の取り合いとバッファを考える
- 進捗の図は「縦軸が何か」で見分ける
- 作業項目ならガントチャート
- 残りの作業量ならバーンダウンチャート
- 予算消費率ならトレンドチャート
スケジュール作成・管理の手法:最短で何日かかるか
① PERT(アローダイアグラム)(★計算がよく出る)
- PERT:
- 作業を矢印、作業のつなぎ目を丸(結合点)で表し、作業の順番と依存関係を図にする技法
- 図にすることで、完了までの所要日数とクリティカルパスがわかる
- 例えば、カレー作りなら「野菜を切る」と「ご飯を炊く」は同時に進められるが、「煮込む」は「野菜を切る」が終わらないと始められない
- ダミー作業:
- 実際には存在しない、所要日数0の作業(点線で描く)
- 「この作業が終わらないと次に進めない」という順番の関係だけを表す
例
| 作業 | A | B | C | D | E | F | G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日数 | 4 | 3 | 2 | 5 | 4 | 3 | 2 |
| 先行作業 | − | − | A | A | B、C | B、C | D、E |
-
図にすると:
- 結合点は①〜⑤。Aは①→②、Bは①→③、Cは②→③、Dは②→④、Eは③→④、Fは③→⑤、Gは④→⑤
-
最早結合点時刻:
- 一番早く次の作業に進める日
- 左から右へ、入ってくる矢印のうち大きいほう(max)を取る(両方終わらないと始められないから)
- 例えば、結合点③は、A→Cの経路が4+2=6日、Bが3日なので、遅いほうの6日
- 順に計算すると最後の結合点は12日になり、これがプロジェクトの所要日数
-
最遅結合点時刻:
- 遅くてもこの日までに次に進まないと、全体に間に合わない日
- 右から左へ、出ていく矢印のうち小さいほう(min)を取る
- 例えば、結合点③は、Fから見ると12−3=9日、E→Gから見ると12−2−4=6日なので、早いほうの6日
-
クリティカルパス:
- 余裕がまったくない作業をつないだ経路。事実上、プロジェクトの所要期間を決めている
- ここの作業が1日遅れると、全体も1日遅れるので、重点的に管理する
-
一番簡単な解き方:
- 全部の経路を足して、一番長いものを選ぶ
| 経路 | 日数 |
|---|---|
| A→C→E→G | 4+2+4+2=12 ← 一番長い=クリティカルパス |
| A→C→F | 4+2+3=9 |
| A→D→G | 4+5+2=11 |
| B→E→G | 3+4+2=9 |
| B→F | 3+3=6 |
- 余裕日数=
- 最遅開始日 − 最早開始日
- 例えば、作業Dは、最早開始日が4日、最遅開始日が10−5=5日なので、余裕は1日
- 最早開始日:
- その作業が出ていく結合点の、最早結合点時刻と同じ
- 最遅開始日=
- その作業が入っていく結合点の最遅結合点時刻 − 作業日数
- 同じ結合点から出る作業:
- 同時に開始されると考える
- ひっかけ注意(クリティカルパスの見つけ方):
- 結合点②と④はどちらも余裕0だが、そのあいだにある作業Dには余裕がある
- クリティカルパスは「余裕0の結合点を結んだもの」ではなく、「余裕0の作業を結んだもの」
- この例のクリティカルパスはA→C→E→Gだけで、A→D→Gは違う
- クリティカルパス法:
- クリティカルパスに注目してスケジュールを管理する手法
- 資源平準化:
- 人や機械が限られた量や期間しか使えないとき、作業の時期をずらして使い方を均すこと
- クリティカルパス上の作業でも開始日を動かすので、クリティカルパスが変わることがある。平準化したらスケジュールを見直す
② 所要期間の短縮(スコープは変えずに縮める)
| 手法 | やり方 | 例え |
|---|---|---|
| ファストトラッキング | 本来は順番にやる作業を並行して行う | 設計が全部終わる前に、決まった部分から作り始める |
| クラッシング | クリティカルパス上の作業に人やお金を追加する | 人を増やして早く終わらせる |
- クラッシングの手順(★):
- クリティカルパス上で、1日短縮する費用が一番安い作業を1日縮める
- クリティカルパスを確認し直す(縮めると、別の経路がクリティカルパスになることがある)
- 目標の日数まで1と2を繰り返す
- 作業を3日縮めても、全体が3日縮むとは限らない
- 途中でクリティカルパスが変わることがあるから
- 例題(クラッシング):
- 経路XはP(5日)→Q(4日)で9日、経路YはR(3日)→S(5日)で8日。全体を2日縮めたい
- 1日縮める費用は、P=10万円、Q=3万円、R=2万円、S=4万円
- 例題の答え:
- 1日目は、クリティカルパスがX(9日)なので、X上で一番安いQ(3万円)を縮める。XもYも8日になる
- 2日目は、XとYの両方がクリティカルパスになったので、両方を1日ずつ縮める。X上はQ(3万円)、Y上はR(2万円)で、合計5万円
- 合計 3万円 + 5万円 = 8万円で、全体は9日から7日になる
- 例題のひっかけ:
- Qだけを2日縮める(6万円)と、Xは7日になるが、Yの8日が残るので全体は8日。1日しか縮まらない
③ プレシデンスダイアグラム法(PDM)
- PDM:
- 作業を箱(ノード)で表し、順番を矢印で表す書き方
- PERTとは逆(PERTは作業が矢印)
- 箱の中には、作業名のほか、ES(最早開始日)、EF(最早終了日)、LS(最遅開始日)、LF(最遅終了日)などを書くことがある
- PDMの特徴:
- 順番の関係を4種類で表せる(PERTはFSしか表せない)
- リードとラグを使える
| 関係 | 意味 | 例え |
|---|---|---|
| FS(終了 → 開始) | 前の作業が終わったら、後の作業を始められる | 壁を塗り終わったら、家具を入れる(一番ふつうの関係) |
| FF(終了 → 終了) | 前の作業が終わったら、後の作業も終わる | 工事が終わったら、工事の検査も終わる |
| SS(開始 → 開始) | 前の作業が始まったら、後の作業も始められる | 原稿を書き始めたら、校正も始められる |
| SF(開始 → 終了) | 前の作業が始まったら、後の作業が終わる | 夜勤の人が来たら、日勤の人が上がる |
- リード:
- 後の作業を前倒しする期間
- 例えば、FS関係でリード5日なら、前の作業が終わる5日前に始められる
- 「先にリードする(早める)」と覚える
- ラグ:
- 後の作業の開始を遅らせる期間
- 例えば、SS関係でラグ3日なら、前の作業が始まって3日後に始められる
- 「タイムラグ(遅れる)」と覚える
④ クリティカルチェーン法
- クリティカルチェーン法:
- 作業の順番だけでなく、人や機械の取り合い(資源の不足や競合)も考えてスケジュールを管理する手法
- 資源の不足や競合が起きることを前提に、余裕(バッファ)を各作業ではなくまとめて置く
- クリティカルチェーン:
- クリティカルチェーン法で、全体の日数を決めている経路
- 資源の取り合いがなければ、クリティカルパスと同じになる
| バッファ | 置く場所 | 目的 |
|---|---|---|
| 合流バッファ(フィーディングバッファ) | クリティカルチェーン以外の作業が、クリティカルチェーンに合流する直前 | 脇の作業が遅れても、クリティカルチェーンに影響させない |
| プロジェクトバッファ(所要時間バッファ) | クリティカルチェーンの最後 | プロジェクト全体の安全のため。進み具合によって増減する |
- バッファの例え:
- 旅行で、乗り換えのたびに余裕を取るのではなく、合流する所と最後にまとめて余裕を取っておく
進捗管理手法:予定どおり進んでいるかを見張る
| 図 | 縦軸 | 横軸 | わかること | 弱点 |
|---|---|---|---|---|
| ガントチャート | 作業項目 | 時間 | 作業ごとの予定と実績の横棒。遅れが一目でわかる | 作業どうしの関連や順番は表せない(ある作業の遅れが他にどう響くかはわからない) |
| バーンダウンチャート | 残りの作業量 | 時間 | 残りが減っていく様子。期限までに終わるかがわかる | |
| トレンドチャート | 費用(予算消費率) | 開発期間 | 費用と進捗を同時に見る |
- バーンダウンチャート:
- アジャイル開発でよく使う。イテレーション(短い開発期間)ごとの進み具合を見える化する
- タスクボードと連動させて使う
- タスクボード:
- チーム全員で作業の状態を共有するボード
- 作業を「ToDo(やること)」「Doing(作業中)」「Done(完了)」に分けて管理する
- トレンドチャート:
- 予定の費用と進捗を点線で描き、マイルストーンを書き込む
- 実績を書き込んでいき、マイルストーンの時点で予定と実績を比べる
- マイルストーン:
- 作業の区切りや、意思決定が必要になるタイミング
- トレンドチャートの読み方:
- 実績が予定より下にあれば、費用が予算より少ない
- 実績が予定より右にずれていれば、マイルストーンへの到達が遅れている
- 予定から実績への矢印が真下を向いていれば、進捗は予定どおりで、費用は予算を下回っている
- EVM:
- 費用と進捗を数字で評価する手法(後述)
混同しやすいペア
- 最早結合点時刻 / 最遅結合点時刻
- 最早は、左から右へ、大きいほうを取る
- 最遅は、右から左へ、小さいほうを取る
- 余裕0の作業を結んだもの / 余裕0の結合点を結んだもの
- クリティカルパスは、余裕0の作業を結んだもの
- 余裕0の結合点を結んだものとは、同じとは限らない
- ファストトラッキング / クラッシング
- ファストトラッキングは、並行してやる
- クラッシングは、人やお金を追加する
- PERT / PDM
- PERTは、作業が矢印で、FS関係だけ
- PDMは、作業が箱で、FS・FF・SS・SFの4つ
- リード / ラグ
- リードは、前倒しする
- ラグは、遅らせる
- クリティカルパス / クリティカルチェーン
- クリティカルパスは、作業の順番だけを考える
- クリティカルチェーンは、資源の取り合いも考える
- 合流バッファ / プロジェクトバッファ
- 合流バッファは、合流する直前に置く
- プロジェクトバッファは、最後に置く
- ガントチャート / バーンダウンチャート / トレンドチャート
- ガントチャートは、予定と実績の横棒。順番は表せない
- バーンダウンチャートは、残りの作業量
- トレンドチャートは、費用と進捗を同時に見る